Research
海水中に含まれている様々な物質の中には生物や人間に何らかの悪影響を及ぼすものが含まれています。そのような物質がもたらす現象の頻度および影響の規模を「環境リスク」とよばれる数字で示し、それを社会に提供する手法を作ろうとしています。そのために、海の物理/化学/生態学に加え確率論、熱力学なども統合させた理論の構築を行っています。
海底に分布しているマンガン団塊,コバルトリッチクラスト,海底熱水鉱床から鉱物資源を採取するためのシステムの開発を目指します。海底で採取した岩石等を洋上へと輸送するための技術を確立するためには,長大な管やケーブルなどを安全性や機能性を考慮して設計する必要があります。そのために構造力学や流体力学をベースとした研究を行っています。
深海における広大な3次元探査,海底における資源採取オペレーションなどを行うためには深海に電源を供給する必要があります。本研究室ではそのために必要なエネルギーを海中の自然エネルギーから採取し海中で消費するシステムの開発を目指しています。そのために,海中での流れから流体エネルギーを吸収する方法について実験,理論,数値計算を駆使して研究しています。
≪ライザー管の渦励振の数値シミュレーション結果≫
(左)流れが深さ方向に一様な場合 (右)流れの速さが深さ方向に一様でない場合
円柱の形状をもった物体(鈍頭物体)が流れの中に置かれているとその物体が振動する性質があります。これは粘性流体的現象と構造物の運動とが連成することで生まれるものと考えられています。この振動により長大な海洋構造物(ライザー管など)の部材に疲労が蓄積するなどの悪影響が懸念されています。また,この振動を逆に利用して海中でのエネルギー吸収システム開発に応用することが期待されています。本研究室では,この振動現象を力学的に解明することで,海洋構造物設計手法の構築,海中マイクロ発電システム設計への適用を目指して研究を進めています。
「水資源の確保」,これは今世紀最もニーズが高まる課題です。本研究室は「自然エネルギーの利用」および「海水リソースに近く,かつ広大な洋上空間の活用」をキーワードに海水淡水化システムの開発を目指し研究に取り組んでいます。波浪中でも安定した集熱効率を維持できる集熱器,エクセルギー解析に基づく熱力学的最適設計,洋上の気象現象を複合的に利用することによる淡水獲得量増加などの観点から検討を行っています。